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今回は、本校で聞かれた心に残った言葉を紹介します。
○「これからずっと、このウエストバレーに来ればいいじゃない。」
ウエストバレーとは、今年の集中学習期間中の借用校ウエストバレーエレメンタリースクールのことです。そこに勤めるカストーディアンのブレンダが、額に吹き出た玉のような汗を手で拭いながら、私たちにつぶやいたのでした。
ウエストバレー校は初めての借用校です。作業合間の立ち話。集中が始まり、もう一週間くらい経っていたでしょうか。私たち教職員と彼女の間には、遠慮や形式的な礼儀を見せるような距離は既にないものと思っていました。が、それにしてもこのような言葉を聞けるとは。
正直言って、借用校の使い方には気を遣います。現在、当校では、クパティーノミドルスクールから全学級分の25教室に加え、特別教室3つの総数28教室を借りています。数が多いだけに、授業日一日を終えた後も、机の中を触ったり掲示物を破いたりしてなかったか、コンプレーンは来ないか等々、気持ちが安まることはありません。事実これまでに、机がズレていた、コンピュータのスイッチがオンになっていた等のコンプレーンがありましたから。
借用に伴うこのような張り詰めた気持ちがある中で、ブレンダのこの一言ほど、私たちを喜ばせ、そして、励みになったものはありません。校舎の使い方をはじめ、私たちの教育活動の様子について、最も身近で詳しく理解しているのがカストーディアンです。何気なしに口にした言葉かもしれません。が、自然に出たつぶやきだからこそ、心にいつまでも浸み入る忘れ難い言葉となりました。
○「だって、あいさつすると気持ちいいでしょ。」
今年度も児童会では、「あいさつをしよう」とめあてを立てました。「しつれいします」「ありがとうございました」職員室の出入り口には、これらの言葉が子供の目の高さに掲示されています。
あいさつの大切さは誰もが認めることでしょう。でも、どうして大切なんでしょう? 礼儀だから。決まりだから。それとも、しないと先生に注意されるから・・・。
掲示の効あってか、あるいは決まりの遵守からか、職員室への入室の際には、多くの子が「しつれいします」と声を掛けます。
その日、二年生のある女の子たちが来た時もそうでした。「おはようございます。しつれいします。」入り口で響いた声の元気さに、職員室の空気が、一瞬、止まったかと思った程です。
「元気だね。」あまりに素直だったので、私は、糸を引かれたように、声を出しました。「どうして、そう元気にあいさつをするの?」何のためらいもなく、その子が答えた言葉です。「だって、あいさつすると気持ちいいでしょ。」仕事をしていた職員の顔が一斉にこちらを向き、にっこりと笑顔に変わりました。尋ねた私は、一言「そうだね。」と返すしかありませんでした。それ程、素直な答えぶりだったのです。あいさつをすることに理屈なんかいらない。誰でもない、自分自身の気持ちがよくなるんだ。そのとおりでした。
「ありがとうございました。」職員室を出た二つ小さな肩が、まぶしい光の中で、楽しそうに揺れて行きました。
2002年11月
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