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やまなみ6月号

ウルトラマンから『シュワッチ』   校長 堀井 重樹 

 

堀井重樹校長
平成14年4月から文部科学省より本校へ派遣。大阪府教育委員会所属。

 誰もが変身したいと願っている。今までの自分から、何か違う明日の自分に。自分の可能性に挑戦してみたいから。自分を信じたいから。幸せを今以上に感じたいから。
子ども達だって同じだ。昨日ではない自分を模索している。助走をつけながら懸命に飛び上がろうとしている。結果はなかなかやって来ないけれど、一つのきっかけを、一つの弾みを、一陣の風を待っている。親や教師はその瞬間(子ども達の変化)を見落とすことなく、背中を「ポン」と押してやらねばならない。何気なく、さりげなく。
 人生を大きく生きた人達の回顧録には、身近な人達の「ポン」という温かい音や言葉が聞こえてくる。
 先週のY紙の「人に本あり」というコーナーで、出会いの持つ力の大きさが記事として載っていました。良い話でしたから紹介します。

―以下抜粋

 盲目のテノール歌手、Nさんは、幼い頃父母に捨てられ、薄幸な環境の中で成長する。度重なる不幸の中で自暴自棄になった頃があった(高1)。人を信じられず、自分の価値も分らない、自ら命を絶とうとした頃、歌が好きだったNさんは、賛美歌が歌いたくなり、教会の門をたたきS牧師と出会う。苦悩を語るNさんのそばで、黙って話を全て聞き取り、涙したS牧師の優しさに、Nさんの心が開いていく。そんなNさんの転機に、牧師の妻は三浦綾子の「道ありき」をNさんに朗読して聞かせる。Nさんが何より心を打たれたのは、著者である三浦とM氏との出会いだった。「こんなにもすごい出会いがあるのか。」Nさんは、S牧師との出会いを重ねてみる。第三の出会いは、世界的なボイストレーナーA氏との出会いだ。彼のレッスンでの受講を決めるオーディションでのこと。歌を聴いたA氏は、Nさんにこう尋ねた。「君の声は日本人離れしたラテン的な明るい声だ。なぜそんな声が出るのか」「父がメキシコ系の米兵でした。」自信なく答えた言葉に、A氏が返した一言がNさんの胸に今も強く残る。「すばらしい声を授けてくれたお父さんに感謝しなければなりません。神からのプレゼントです。この声で一人でも多くの人を元気づける歌を歌いなさい。」マイナスだと思っていたことがプラスに転化した瞬間であり、恨み続けた父に会いたいと思えるようになったという。Nさんは現在、全国各地でステージに立ちながら、伸びやかな歌声で人の心を慰め、奮い立たせ、人は出会いで成長すると訴え続けている。―(抜粋)

 「ああー、変化の無いつまらない人生だ。」とつぶやく人に時折出会うことがありますが、私は、決してそうではないと思っています。それぞれの人にその人なりの出会いがあったはずです。その出会いを一つの転機にするかしないかは、その人自身の勇気と判断なのです。多感な青年期には、より多くの出会いが待っています。様々な体験を子ども達に積ませ、自分の考えと判断で堂々と歩いていく子ども達に育てたいものです。新しい教育の目指す「生きる力」とはそのような力でもあるのです。

 「ウルトラマンからシュワッチ!」そんな気分で子ども達と接しています。

2002年6月

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