カリフォルニアの風

サンフランシスコ日本語補習校通信

2007年度  第11号

2008年3月1()

卒業式を控えて

サンフランシスコ日本語補習校 校長 植木進策

  暖かい気持ちの良い日が続いております。保護者のみなさまはいかがお過ごしでしょうか。学校では、今日も含めて本年度の授業日が残すところ3日となりました。再来週には卒業式がありますが、卒業する諸君のさらなる飛躍を祈りますと共に、長年本校のためにご協力をいただきました保護者のみなさまに厚くお礼を申しあげます。特に高等部を卒業されますみなさんは、現地校の勉強や色々な活動に多くの時間が割かれる中、本校に通い、日本語の保持伸長、日本文化の取得に努力をされ今日を迎えられました。このことは単に生徒本人の努力だけでなく、ご家族の大いなる協力、励ましがなくてはかなえられません。卒業式でお渡しする卒業証書は本人だけでなくご家族みなさまにお渡しする卒業証書だと思っております。本当におめでとうございます。また、日本語の保持伸長はこれで終わるのではなく、大学に社会へと飛びだす中で、補習校で培ったバイリンガルに磨きをかけ、ますます精進されるよう希望します。今よりも1歩先、2歩先をめざしてどん欲につき進んでください。食べる時間も惜しんで勉強をする。これが許されるのは青春の特権です。この青春の与えられた時間をどう使うか深く考え、悔いのない人生を歩んでほしいと思います。そして、時には「やがて世界の架け橋に」という本校の校歌を思い出し、自らの生き方を考えていただければ幸いです。

さて、2月2日(土)に在サンフランシスコ日本国総領事、長嶺安政様が本校サンフランシスコ、サンノゼ4校を視察されました。これは日本人の多くの子どもたちが学習する本校を視察され、今後の支援の方法も含めて考えていかれるお気持ちだろうと拝察いたしました。各校とも、子供たちの授業等の様子を見られ、ボランティアの保護者の方に声をかけていただきました。特に、小学部の視察では、「息をしてないほどの静かさ」で本を読んでいる学級がありました。後で担任の先生に、「息をしていないほどの静かさで、熱心に読んでいましたね。」と声をかけますと、「実は息を止めている子供たちがいたんですよ。」といわれました。事前に総領事がこられることを話されていたようです。

次の授業日、昼食を子供たちと一緒に取りました。隣に可愛い1年生が一緒に食べていたのですが、やおら、私に質問をしてきました。「校長先生・・・、校長先生のお弁当箱はなぜ黒いの?」と聞かれ、一瞬絶句しました。「なぜ黒いのと聞かれてもなぁ・・・。」と思っているうちに第二の質問、「〇○君って知っている?」、私「知らないねえ。」彼「あそこにいるのが○○君、僕の友たち。」というような楽しい会話を続けました。この年頃の子どもは自他の関係を認識する能力が育っていません。この力は成長と共についてくるものです。このように明らかにわかる成長もあれば、もう少し大きくなって、見えにくい、しかし、着実にその段階、その段階で獲得していく能力があります。言語取得の10歳の壁、ギャングエイジ、思春期、アイデンティティーなど、私たちは、その成長の段階を知った上で、あわてず、しかし、時を失わず課題を与えていくことが大切です。日本語(言語)は、まさに時を失せず与えていかねばならないものの最優先のものです。人間は10歳までが最も効率よく言語を取得できるようにプログラミングされているといいます。ご家庭での読み聞かせ、音読など、しばらく頑張ると、やがて水が砂にしみこむように言語を吸収するようになります。それまでは大変ですが、粘り強く続けていただき、子供たちに日本語国語力の基礎が整いますよう、どうかよろしくお願いいたします。